サカノウエヨースケ2年振りのアルバムが遂にリリース!

アルバムリード曲であり、鉄拳とのコラボMVも制作した“ニュータウン"についてサカノウエが語る!

main.jpg大人になって言いにくい事を歌にしようと思いました。親子を歌にするにはまだ経験が浅く、人生観を歌い切るにはまだ未熟者。そんな自分がいま、まっすぐうたにできること。。
柔肌のような部分を歌にする事って言葉にするのがとても難しい。でもそこを開いて歌に出来た時の喜びはすごく大きい。

「ニュータウン」この歌を作った最初のきっかけは友人の一言からはじまりました。僕が育った街はバブル以降に日本各地で急速に建設が進んだ新興住宅街と呼ばれる同じ様な家や団地やマンションが並ぶ住宅街。同じ色の制服を脱いだあの日、僕はこの歌と同じようにこの街を出ました。あれから幾つもの時間が過ぎ、時を同じくしてニュータウン育ちの友人が
僕に言った
「サッカン、あのニュータウンからよく東京まで出て来たよね」
それはこういう意味だったように思う。ある種、個性が無いと言えば角が立ってしまうけれど整然と整えられた街と同じように普通に高校を出て大学にいき就職につき、やがて結婚をし家族を持つ生き方とは、まるで正反対の生き方をしている僕にとって
まるであの街で育って今、遠く離れた東京で、こういう生き方をしている事が奇跡であるとでも言いたげのようにも聞こえた。

この歌はそうして出来たそんなある男のどこか孤独を歌った歌。

「夢を持って上京してきた男が故郷に戻る歌」である「生まれ育った街に戻り夢の続きを探し始める」というどこか切なさを歌った歌だ。夢には続きがあるとして、その夢は何も1番目の夢とは限らない。
それもまた人生だったり。
ちょうど僕らの世代、バンドマンには実は切実な問題だったりするのも事実。そんな着想から「1曲」として考えるのではなく
「1つの作品」を作るということに発想を転換してヘッドアレンジに取りかかる。純粋に、見たり、聞いたりしてくれた人に「感動を伝える」作品にしようと考え直したのです。イントロがあってAメロがあって、サビというような感じではなくて
ちゃんとストーリーが見える「作品」にしようと思った。最初はギター1本のシンプルな歌だった。
最終的にこのアレンジに落ち着くまで計3回。時間は日記によると3月12日から制作にとりかかり、6月の終わりまで延べ3ヶ月。何度も完成までに試行錯誤を繰り返す事となる。

この曲のコラボについて

pv_photo.jpgこの曲が出来上がっていく過程で事務所のスタッフさんと、アルバムのリード曲の候補選びや方向性について何度かミーティングを重ねる。といっても、作詞、作曲、編曲を全て自宅で作っているので時々、こうして軌道修正なり客観的な意見を言ってもらう事で曲の方向性を整えて行くというような時間でもある。

そして「ニュータウン」を聴いてもらって最初に返って来た答えは「暗いなぁ、この曲はアルバムに合わないんじゃないか」
というような返事だった。そして僕も正直、そう思った。今までバラードをリードとしてリリースした事が無かったし、ましてや、主人公が故郷に戻る歌は聴いてくれた人にあまりにも、ネガティブな印象を与えるんじゃ無いかとも思った。

帰り道、僕の足取りは重かった。そりゃそうだ、このニュータウン既に2ヶ月もの時間を制作に費やしていたし今までの労力を考えるととても、やる気にみなぎる気持ちにはなれなかった。そして自分の住む東京の町に戻ると友人とバッタリ会った。
そして友人は「すごく感動する本に出会ったよ」と興奮気味に僕に話しかけて来た。その本は「それでも僕は夢を見る」という本でどうやら、彼はその本を何気なく手に取ると、ページをめくる度、涙が止まらなかったと僕に話してくれた。そして、僕もすぐ後を追いかけるように、その本を手にしてページをめくると、僕もその本の素晴らしさに震えた。

その本の絵を書いていたのが、今回のコラボゲストでもある「鉄拳」さん。もともと鉄拳さんとの出会いは今から数年前にさかのぼる。僕は鉄拳さんの音ネタの音楽制作を依頼されてレコーディングした事があって、オフィシャルにこそなっていませんが僕はその時、音楽活動から足が遠のいていたこともあって、久しぶりの音楽制作に胸を躍らせるように膝を突き合わせて制作に取りかかった。
そんな風にして一時の時間を過ごした僕らだったけれど
あの曲が出来た当初は、それがこういう形で実を結ぶとは夢にも思わなかった。

それからまた一ヶ月が過ぎ、事務所に足を運び、作りかけで完成を見ず座礁したままのこの曲を、せっかくだからと最後までアレンジして完成したのが6月。その曲を持ってのミーティングだった。リード曲は「JUMP ON THE NEXT」でいこうと方向も固まっていた矢先、「そういや、この前の曲、結局最後までアレンジしてみたんですよ」とおもむろに曲を流した。

そして、返って来た答えは予想しなかった答えだった「映像と一緒にこの曲を聴いてもらうのはどうだろう?」という答えだった。
僕はまさかの答えに驚いたものの、ふと頭に、友人から紹介してもらったあの本の事が頭によぎった。「この曲の夢の続きに鉄拳さんが色をつけてくれたら素敵だろうな」「もし、この曲、鉄拳さんと一緒に作る事が出来たら面白いかも」と漠然とそんな想いがよぎっていた。

結局、その日はそのままミーティングはお開きとなり帰り道の事。まだ僕は頭によぎった想いが胸につっかえたままだった。
自分の住む町に戻り、そんな想いを直接、友人に打ち明けると「難しく考えず、ピュアな気持ちで連絡一度とってみたら?」
と言った。そしてボソッと付け加えるように「ピュアな気持ちが通じたらやってくれるだろうしそれで駄目ならあきらめもつくじゃん」


その日の夜、鉄拳さんに想いを打ち明けるようにオファーをしてみた。
そして、鉄拳さんからの返事は。。。
そうして今回のMVへと繋がって行くのでした。